明日にはまたありがとうを迎えに
「ご、ごめん…もう、無理…」
無防備の意識に飛び込んできた。聞きたかったのは、そんな一方的に閉ざされる言葉じゃないのに。刺さった。
「何それ。無理ってどういうこと?」
ってくらいは言いたかったが、会うまでにいろいろ頭の中に用意していた言葉たちは、誰一人として姿を現すことはなかった。
このまま終わっちゃうのかな。
このまま終わらせていいのかよ。
ベンチに腰掛けた二人の間に沈黙が横たわる。
いたたまれなくなって、ちらりと彼女の横顔を見たが、長い前髪に包まれて表情がよくわからない。ときどき体に触れる風が、生ぬるく鬱陶しい。
「もう、終わりにしよう。」
はっとした。思いもしなかった言葉が吐き出された。
「えっ!?」
彼は下を向き、ずっと一点を見ているようだったが、その目にははっきりとした意思が感じられた。
「それで本当にいいの?」
「本当に終わっちゃうよ?」
少し動揺している自分がいた。もしかしたら、ちゃんと引き止めてくれるのではないかという一抹の期待ともう一度やり直せるかもしれないという微かな望みの上をふらりふらり歩いているんだから。
ちゃんと受けてめてよ。
もう二度と会えなくなるんだよ。
そのとき、目の前にすっと両手が差し伸びてきた。